「西の魔女が死んだ」は、梨木香歩さんの小説で、映画にもなりました。僕はDVDで観て、今、小説を借りて読んでいます。お話としては、中学生の少女と祖母が、ある時一緒に祖母の住む家で暮らす。というお話です。
とても印象的だった言葉がありました。小説の方から引用しますが、映画の方もほぼ同じように言葉が使われています。
「まい、どうかわかってください。これはとても大事なことなのです。おばあちゃんは、まいの言っていることが事実と違うことだといって非難しているのではないのです。まいの言うことが正しいかもしれない。そうでないかもしれない。でも、大事なことは、今更究明しても取り返しようもない事実ではなくて、いま、現在のまいの心が、疑惑とか憎悪とかといったもので支配されつつあるということなのです。
「わたしは……真相が究明できたときに初めて、この疑惑や憎悪から解放されると思うわ」
まいは言い返した。
「そうでしょうか。私はまた新しい恨みや憎しみに支配されるだけだと思いますけれど」おばあちゃんはまいの手を優しくなでた。
「そういうエネルギーの動きは、ひどく人を疲れさせると思いませんか?」
引用終わり。
自分の感情に振り回されないように。自分の感情に呑み込まれないようにするために、何度もこのシーンを思い返します。